危険物取扱者試験 乙種4類の出題ポイント

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危険物取扱者試験 乙種第4類の出題のうち、重要と思うポイントをまとめていきます。

乙4はガソリン、軽油、灯油、オイルなどの第4類危険物(引火性液体)を貯蔵し、または取り扱うことができます。

危険物の分類

第4類

性質は引火性液体で可燃性です。主な性質と危険性は、

  1. 引火性があり、蒸気を発生させ引火や爆発のおそれがある。
  2. 蒸気比重は1より大きく(空気より重い)、蒸気は低所に滞留する。
  3. 液比重は1より小さく(水に浮く)、水に溶けないものが多い。
  4. 非水溶性のものは電気の不良導体のため静電気を発生しやすい。

出題ポイント

危険物の分類に関しては、第4類だけでなく、危険物の類ごとに共通する性状を問われるので覚えておきましょう。

第4類危険物の性状

共通する特性

引火性の液体で、発火点は650℃以下である。

非水溶性と水溶性

非水溶性のものが多いが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、アセトン、ピリジンなどは水溶性である。
非水溶性のものは、流動や攪拌により静電気が発生する。
電気の不良導体であり静電気が蓄積されやすく、静電気の火花により引火することがある。

蒸気

蒸気比重はすべて1より大きく空気より重い。
蒸気は特有の臭気をもつものが多い。
可燃性蒸気は沸点の低いものほど発生が容易になり、引火の危険性が高い。

発火点

ほとんどが100℃以上であり、発火点に達すると発火源がなくても自ら発火し燃焼する。

引火点

常温で引火するものと引火しないものがある。
ガソリンは-40℃以下、ジエチルエーテルは-45℃、二硫化炭素は-30℃以下など引火点が特に低い。
引火点が低いほど引火の危険性が高く、揮発性が高いため蒸発しやすい。
水溶性のものは注水して濃度を低くすると、蒸気圧が減って引火点が高くなる。
蒸気は燃焼範囲を有し、この下限値に達する液温が低いほど引火の危険性は高い。
蒸気比重の小さい(空気より軽い)ものは引火点が低い場合が多い。
分子量の大きいものほど引火点が高い場合が多い。

出題ポイント

一般的な性状と、危険性の説明、火災の危険性、引火の危険性や組み合わせなどを問う内容が出題されます。

 

第4類危険物の消火

消火の方法

火災の消火は、可燃物の除去や冷却消火は困難である。空気を遮断する窒息消火や燃焼の抑制による消火が効果的である。
使用する消火剤は、強化液消火剤(霧状)、ハロゲン化物消火剤、二酸化炭素消火剤、泡消火剤、粉末消火剤などがある。
第4類危険物は水より軽いものがほとんどのため、注水による消火は、危険物が水に浮き燃焼範囲が広がるため不適当である。
アルコールなどの水溶性の液体は、一般の泡消火剤がかけられると、泡を溶かして消してしまう特性がある。このため泡が溶けない水溶性液体用の泡消火剤を使う必要がある。

出題ポイント

火災に対する消火効果、消火方法について問われます。特に、ベンゼンやトルエンの火災に使用する消火器、注水消火が不適切な理由、アセトンやエタノールなどの火災への対応などを覚えておきましょう。

第4類危険物の貯蔵・取扱い

貯蔵・取扱いの方法

火炎、高温体、火花と接近や接触させない。
近くに粉末消火器を備えておく。
換気を行い、蒸気の密度は燃焼下限界の1/4以下にする。
容器を密栓し、冷暗所に貯蔵する。気温により膨張し破裂や漏れがないよう、容器内上部に膨張の余裕空間を確保する。

火災予防

酸化性の物品とは同一の室に貯蔵しない。
電気設備は防爆構造とし、電気火花や高温による引火の危険を防ぐ。

静電気による火災の予防

静電気を逃がし帯電を防止する。ホースなどで移し替える際は低流速で行い、ホース、配管、タンクなどは接地(アース)して静電気を逃がす。
静電気が発生するおそれのある作業は、床面に散水して湿度を高め、静電気が蓄積しないようにし、帯電を防止した作業着などを着用する。

出題ポイント

貯蔵、取扱いの方法、火災予防の方法、静電気による火災予防の方法について、具体的な方法が出題されます。正しい内容と誤っている内容をしっかり覚えておきましょう。

特殊引火物の性状

特殊引火物

特殊引火物は、1気圧において発火点が100℃以下のもの、または引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものをいう。特徴は引火点が低く、沸点が低く、燃焼範囲が広い。

特殊引火物として、ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレンがある。

出題ポイント

ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレンの性状を把握しましょう。水溶性かどうか、沸点、引火点、発火点、比重、燃焼状態、貯蔵法、消化方法などの違いを問われる問題が出題されます。

 

第1石油類の性状

第1石油類

第1石油類は、特殊引火物を除き、1気圧で引火点が21℃未満のものを指す。
ガソリン、ベンゼン、トルエンなどは非水溶性、アセトン、ピリジンなどは水溶性である。
蒸気比重は1より大きく空気より重いため、地上を這って離れた低所に滞留することがある。
取扱い場所に設置する電気設備は、全て防爆構造とする。
電気の不良導体が多く、静電気を蓄積しやすいため、帯電を防止した作業着などを着用する。

第1石油類はガソリン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、酢酸メチル、エチルメチルケトン、アセトン、ピリジンがある。

出題ポイント

ガソリンの性状は必ず問われるので覚えておきましょう。ベンゼン、トルエン、アセトンも重要です。アセトンは特徴的なので、確実に押さえておきましょう。

 

アルコール類の性状

アルコール類はメタノールとエタノールの2つです。

メタノールは引火点が11℃、毒性が強く誤飲すると失明または死亡することがある。
エタノールは引火点が13℃、毒性はないが麻酔性がある。

共通する性状として、無色で特有の芳香がある。
水または多くの有機溶剤とよく溶ける。
水で希釈すると引火点は高くなる。
揮発性が強い。
三酸化クロムと接触すると、激しく反応して発火する危険性がある。
青白い炎を出して燃えるので、明るい場所では炎が見えにくい。つまり引火に気付きにくい。

出題されませんが豆知識として、酒や消毒液はエタノール、アルコールランプの燃料はメタノールです。

出題ポイント

メタノールとエタノールに共通する性状と、メタノール、エタノールそれぞれの性状について問われます。二つを混同しないようにしっかり覚えておきましょう。

 

第2石油類の性状

第2石油類

1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のものをいう。
灯油、軽油、キシレンなど非水溶性のものと、酢酸など水溶性のものがある。

灯油、軽油、キシレン、n-ブタノール、酢酸、アクリル酸が第2石油類にあたる。

ちなみに酢酸はお酢(食酢)の原料で酢酸濃度3~6%です。
お酢が危険物(第2石油類)というわけではないですが、お酢に含まれる酢酸が危険物と言われてもいまいちピンとこないです。

出題ポイント

灯油、軽油、キシレン、n-ブタノール、酢酸、アクリル酸のそれぞれの特徴を押さえておきましょう。灯油、軽油は特に頻出ですが、違いに着目して覚えておきましょう。

第3石油類の性状

第3石油類は重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン、グリセリンがあります。聞き慣れないものが多いですが、特徴を覚えておきましょう。

クレオソート油はコールタールを蒸留して得られる留出物。コールタールは石炭を高温で熱したときに得られる。クレオソート油の用途は、カーボンブラック原料、木材の防腐剤に用いる。

アニリンは主にニトロベンゼンから作られ、アニリンは他の化学物質の原料として主に用いられている。水には溶けにくいが、ジエチルエーテル、エタノール、ベンゼンによく溶ける。

ニトロベンゼンはニトロ化合物だが爆発性がない。
ちなみにニトロ化合物には爆発性があり、第5類危険物に該当し、ニトロ化合物の一つであるニトログリセリンは、ダイナマイトの原料になる。他にもトリニトロトルエンはTNTと呼ばれ爆薬に使われる。

出題ポイント

重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン、グリセリンの特徴をしっかり覚えておきましょう。確実に得点を期待できます。

第4石油類の性状

1気圧の常温で液状であり、引火点が200℃以上250℃未満のものをいう。ギヤー油、シリンダー油が該当する。
非水溶性で粘度が高く、比重が1より小さい(水に浮く)ものが多い。
引火点が高く、一般的には加熱しない限り引火の危険性は低い。
燃焼温度が高く、火災時には液温が非常に高くなる。水系の消火剤では水分が沸騰蒸発し消化が困難。また棒状での注水では高温となった油を周囲に飛び散らせる危険がある。
揮発性がほとんどなく蒸発しにくい。

余談ですが、機械設計者はギヤ、シリンダなど伸ばさず記載するのが基本のため違和感を感じます。

出題ポイント

性状や引火点の低い順序などが出題されます。出題範囲が狭いので得点は期待できます。取りこぼしのないようにしましょう。

動植物油類の性状

動物の油脂等または植物の種子もしくは果肉から抽出したもので、1気圧において引火点が250℃未満のものをいう。
ラードやゴマ油、菜種油、オリーブオイルなどがあります。

一般的に非水溶性で、比重は1より小さく水より軽い。
蒸発しにくく、引火しにくいが、一旦火災になると燃焼温度が高くなり消火が非常に困難。
可燃性なので、布などに染み込んだものは、酸化⇒発熱し自然発火する危険性がある。

自然発火

油類は空気に触れると酸化し、酸化熱を発生する。自然発火は、この酸化熱の蓄積が発火点に到達すると発生する。
動植物油類による自然発火の要因として、①ヨウ素価が大きい ②湿気が少ない ③発火点が低い ④換気がなく、酸化熱が蓄積しやすい ことが挙げられる。

出題ポイント

動植物油類の性状、自然発火について問われます。特に自然発火は試験において重要なキーワードになりますので、確実に理解をしておきましょう。

まとめ

乙4は出題範囲が比較的広いので、2週間程度の期間で覚えるようにします。関連する内容もあるので、バラバラに覚えるより体系を掴むようにします。ただ、似たような内容は正誤を問われたり、ひっかけ問題に注意しましょう。

ポイントを押さえ確実に得点できるように準備していきましょう。

ネットを使って情報を得たあとは、テキストや問題集を使用して勉強することをおすすめします。

参考に自身が使用したテキストです。

 

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