機械工学の基礎の基礎

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自動車や産業機械など動くものを作るために必要なのが機械工学です。ここでは高校レベルの知識をもとに、できるだけわかりやすくまとめていきます。

トルクとは

長いスパナと短いスパナのどちらが強くボルトを締め付けられるでしょうか。
答えは長いスパナです。回転中心からの距離が遠いほど大きな力を出すことができます。

言い換えると、基準点から作用点までの距離と力の大きさによる物理量を力のモーメント、またはトルクと呼び、単位は力[N]に距離[m]をかけて[N・m]です。

リンク機構

リンク機構とは剛体の棒と回転軸を持っている機構です。


この図ではピン結合による回転支持をイメージしていますが、ボールベアリングで3次元的に動作させる構造もあります。このような構造を設計する際は、アームにかかる荷重やピンにかかるせん断、ピン穴周りの強度検討をしましょう。

クランク機構

クランク機構は、回転運動を直線運動に変換(直線運動を回転運動に変換)する機構です。例えばクランク側を回転させ、ピストンの往復運動をする例として圧縮機があります。反対にピストン側を往復運動させ、クランクの回転運動をする機構としてエンジンがあります。

ピストン側の力f[N]、クランクの長さをr、クランクの回転角度をθと定義すると、クランク側のトルクT[N・m]の関係式はT=frsinθです。
すると、クランク角度が水平となる0°と180°ではトルクが0になることがわかります。ここを上死点、下死点と言います。

歯車(ギア)

歯車の機構は、動力の伝達方法として機械の内部によく使用されます。歯車を使う理由としては、回転数は早いがトルクは小さい動力源としているものが多いです。

ギアの歯数の比をギア比といいます。歯の大きさは同じなので、歯数の比は円周長さの比、すなわち半径の比と同じになります。例えば歯数80の大きい歯車と、歯数20の小さい歯車がかみ合っている場合を考えます。小さい歯車の角速度は大きい歯車の4倍となりますので、小さい歯車が4回転すると大きい歯車は1回転することになります。一方で、大きい歯車のトルクは小さい歯車の4倍となります。

ウォームギア

ウォームギアは下の図のような機構で構成されます。円筒状の部品をウォーム、円盤状の部品をウォームホイールと呼び、ウォームを回転させるとネジ山が進み、ウォームホイールが回転する仕組みです。

ウォームギヤ無料アイコン 164.19 KB

注意する点として、回転しながら押し出す構造のため、滑らせて動かすことができるよう摩擦力を小さくする必要があります。対策としてはウォームを硬い材質で、ウォームホイールを柔らかい材質で作ることや、潤滑油を使用します。摩擦が働くという理由から、ウォーム側からしかギアを回せないことにも注意しましょう。

まとめ

ここでは代表的な機械要素のほんの一部を紹介しました。機械が動くメカニズムの基本原理を理解したあとは、「手計算」によって構造の成立性を検討していきます。その際には、材料力学についても知っておく必要がありますが、機械設計の初心者にとっては難しく感じるものもあると思います。身近にあるものを例に、一つひとつ検討をこなしたり、機械設計の基礎問題を解くことでスキルアップしていきましょう。

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