「いい大人が泣いてしまう。開発は一言で言えば残酷である。」
先日、アマゾンプライムビデオで「純国産哨戒機P-1 開発者たちの挑戦と軌跡」というドキュメンタリーを視聴し、その中で非常に胸に刺さった言葉です。
実際に開発されている方も、これからエンジニアを志す方も是非とも見ていただきたい、素晴らしい内容でしたので紹介します。
概要
P-1哨戒機とは
海上自衛隊の最新型哨戒機P-1の開発の物語ですが、まずは用語を簡単に説明します。
哨戒機とは、洋上捜索、不審船の発見・追尾、対艦戦闘、対潜水艦戦闘など、日本の海をパトロールする任務を行う航空機です。
P-1とはPatrol Aircraftよりきており、性能は世界トップクラスです。というのも、海外の哨戒機は既存の旅客機をベースに作られますが、P-1は最初から哨戒機として開発されたからです。
チャレンジングな試み
通常、航空機を新規開発するのは機体だけで、エンジンは使用実績のあるものを使う。しかし、本プロジェクトは機体、エンジンなどをすべて同時に新規開発を行うという前代未聞のことであった。そこには純国産の開発という至上命題があった。さらに、海上自衛隊の哨戒機と、航空自衛隊の輸送機C-1も新規開発という、2機種同時開発を進める必要があった。共用する部分が多いほどコストは下げられるメリットがあるためである。
開発者のことば
開発のプロセスとして、基本設計、細部設計と進み、試作機製造や各種強度試験を経て、飛行試験と進んでいきます。製造図面が出来上がってから、製造のステップに進みますが、いきなり飛行機を作るわけではなく、パーツごとの性能を確かめる必要があります。このプロセスが非常に重要かつ大変な作業で、ありとあらゆる状況を想定したテストを繰り返します。
川崎重工の野久 徹さんのインタビューが非常に印象的でしたので、ここに紹介させて頂きます。
「いい大人が泣いてしまうほど、開発は残酷なものである。一生懸命考えて、これがベストと思って設計したものが目の前で壊れたり、上手く機能しないことがある。これが非常に残酷で、自分の実力のなさを目の当たりにすることになってしまう。」
「これがテストになると、自分ひとりではなく大勢に迷惑をかけてしまう。こんちくしょうともう一度検討して、現場に頭を下げ作り直し再びテストに臨むが、たいていはまた壊れてしまう。そうすると本人も辛いが、周りで見ている方も辛い。そうすると、協力しているみんなも最初は迷惑だが、本人が一生懸命やっているところを見ると、一生懸命協力するようになる。そこを乗り越えないと、神様からの贈り物が来ない。(ちゃんとしたものができない)」
「神様は優しくなくて残酷で、もう必死になって、これ以上できないというところまでやらないと神様はOKしてくれない。」
まとめ
とにかく、一言ひとことが重く、まさにその通り最後まで諦めず、最後まで突き詰めた先に答えが見えてくるのだと思います。神様がOKしてくれて、最後に上手くいった時に涙を流せるようなエンジニアを目指していきたいです。
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